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6.万葉筑紫歌壇
奈良時代の初めの神亀(じんき)年間から天平(てんぴょう)年間にかけての数年、大宰府には大宰帥大伴旅人(おおとものたびと)、少弐小野老(おののおゆ)、筑前国守山上憶良(やまのうえのおくら)、造観世音寺別当沙弥満誓(しゃみまんせい)、娘子(おとめ)児島、大伴坂上郎女(さかのうえのいらつめ)などの人々が会し、「万葉集」に収められた数々の歌を残しました。それを後の人が称して「筑紫歌壇」と言いました。
筑紫で詠まれた歌は約320首、関係が深いと考えられる歌は、約57首あります。
筑紫歌壇の代表的な歌は、帥大伴旅人邸で開かれた梅花宴(ばいかのえん)32首、亡くした妻を偲ぶ旅人の歌、貧窮問答歌などの憶良作の歌群、松浦川の歌群、志賀白水郎(あま)の歌、そして遣新羅使の筑紫での歌などです。
あおによし 寧楽(なら)の京師(みやこ)は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり | 巻3-328 | 小野 老(おののおゆ) |
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しらぬひ 筑紫の綿(わた)は 身に付けて いまだは着ねど 暖けく見ゆ | 巻3-336 | 沙弥 満誓(しゃみまんせい) |
大野山 霧立ち渡る わが嘆く 息嘯(おきそ)の風に 霧立ち渡る | 巻5-799 | 山上 憶良(やまのうえのおくら) |
わが苑(その)に 梅の花散る 久方の 天より雪の 流れくるかも | 巻5-822 | 大伴 旅人(おおとものたびと) |
大夫(ますらを)と 思へるわれや 水くきの 水城の上に 涙のごはむ | 巻6-968 | 大伴 旅人(おおとものたびと) |
市内には、万葉集筑紫歌壇が詠んだ歌の歌碑が各所にあります。
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