本文
通史編1
環境分野・考古分野・古代分野で構成されています。各資料編編集の際のデータをもとに、できるだけわかりやすく叙述するよう努めました。また、近年の災害、最新の発掘調査や研究の成果、大宰府史跡を中心とする歴史考古学にも十分に意を用いています。
第1編では、太宰府をとりまく環境をさまざまな切り口で叙述しました。渇水や災害なども取り上げています。第2編は九州、アジアといった広い視点から、旧石器・縄文・弥生・古墳時代を叙述し、市内に分布する遺跡にもふれました。しかしなんといっても本書の白眉は、第三編にあるでしょう。考古学と文献史学の共同作業によって、大宰府の時代とその前史をまとめ上げました。新説の提示もあり、今後の大宰府研究における基礎となるものです。
(約1,100ページ)
第1編 太宰府市の環境
- 第1章 太宰府市の概況
第1節 位置
第2節 沿革
第3節 自然環境 - 第2章 地形・地質
第1節 地形
第2節 地質 - 第3章 気候と水文環境
第1節 気候
第2節 水道と1994年の渇水 - 第4章 動植物
第1節 太宰府市の生物
第2節 魚類
第3節 両生類
第4節 爬虫類
第5節 鳥類
第6節 哺乳類
第7節 昆虫「太宰府市のチョウ相」
第8節 植物 - 第5章 太宰府市の自然災害
第1節 太宰府市の自然災害の特徴
第2節 最近生じた災害事例
第3節 災害復旧工事費から見た戦後災害 - 第6章 太宰府市の土地利用変化と景観
第1節 農業水利
第2節 資源利用と里山景観
第2編 太宰府のあけぼの
- 第1章 旧石器時代
第1節 時代区分
第2節 旧石器時代はどのような時代か
第3節 太宰府市の遺跡と遺物 - 第2章 縄文時代
第1節 縄文時代はどのような時代か
第2節 太宰府市の遺跡と遺物 - 第3章 弥生時代
第1節 東アジア世界の中の弥生文化
第2節 稲作農耕初期社会の成立「主として弥生時代前期」
第3節 初期金属器社会の形成「主として弥生時代中期」
第4節 弥生社会の充実「主として弥生時代後期」 - 第4章 古墳時代
第1節 総説
第2節 首長墓の出現「前期の墓制」
第3節 九州型古墳の形成「中期の墓制」
第4節 群集墳の盛行「後期の墓制」
第5節 古墳文化の終焉「終末期の墓制」
第6節 生活と生産
第3編 大宰府の時代
- 第1章 大宰府の成立前史
第1節 古代東アジア世界と筑紫
第2節 那津官家の設立
第3節 筑紫大宰
第4節 朝倉宮と白村江の戦い
第5節 大宰府の建設
第6節 白村江の敗戦と筑紫
第7節 律令制の成立と筑紫大宰府 - 第2章 大宰府の成立
第1節 大宰府の成立
第2節 大宰府の組織
第3節 大宰府の役割
第4節 藤原広嗣の乱と大宰府
第5節 吉備真備と怡土城 - 第3章 よみがえる西の都・大宰府
第1節 第2期大宰府政庁と府庁域
第2節 西海道の国府と郡家 - 第4章 条坊制と官道
第1節 日本における条坊
第2節 東アジア諸国の条坊
第3節 大宰府の条坊
第4節 官道の敷設 - 第5章 大宰府の古代寺院
第1節 官寺的性格の寺院
第2節 私寺的性格の寺院
第3節 古代寺院から中世寺院へ - 第6章 府大寺観世音寺の創建
第1節 観世音寺の創建
第2節 観世音寺の威容
第3節 観世音寺の経済基盤
第4節 仏像の造立とその変遷 - 第7章 大宰府の展開
第1節 大宰府の外交と交易の展開
第2節 西海道における兵制改革
第3節 四王院の成立と変遷
第4節 小野岑守と大宰府
第5節 遣唐使の終焉 - 第8章 大宰府の変容
第1節 藤原純友の乱と大宰府
第2節 大宰府第3期政庁の建設と消滅
第3節 府官の登場
第4節 日宋交渉と大宰府
第5節 貿易陶磁の問題「交易の諸相」
第6節 刀伊の入寇と大宰府
第7節 管内支配の変質 - 第9章 安楽寺の興隆
第1節 左遷された人々
第2節 菅原道真と安楽寺
第3節 安楽寺と天満宮
第4節 安楽寺と荘園 - 第10章 大宰府の文化
第1節 筑紫歌壇「万葉のうた」
第2節 平安時代の文芸
第3節 学校院 - 第11章 大宰府の生活
第1節 役人の生活と庶民の生活
第2節 黄泉の世界
第3節 信仰の生活
第4節 生産と流通