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市長提案理由説明冒頭あいさつ(令和3年第4回(11月)定例会・令和3年11月9日)
皆様、こんにちは。
本日ここに、令和3年第4回太宰府市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、大変ご多用の中にご参集いただきまして、厚く御礼を申し上げます。
本議会は、来る12月12日に市長選挙、市議会議員選挙が同時に執り行われますことから、例年の12月定例会を前倒しして開催するものであります。
議員の皆様にとりまして、そして私にとりましても、今任期中最後の定例会となります。また、一部の勇退される議員にとっては最後の議会ともなります。
そうした節目の議会に際し、敬意と緊張感を持って臨んで参りたいと存じます。
私自身、去る10月12日、二期目に向け再度出馬することを正式に表明しました。しかしここに至るまで私なりに葛藤があったことも事実であります。
改めて一期目を振り返りますと、一年目は未曽有の混乱からの脱却、二年目は令和発祥の都としての飛躍、三年目以降は未知の新型コロナウイルスとの戦いと、一年一年異なる難題に立ち向かう起伏の激しい四年間となりました。
しかしその間も一貫して職員、市議会、市民の皆様と心を一つに市政を運営することを心がけ、おかげさまでここまで全ての議案を可決いただき、市税収はこれまで約2億4千万円増、ふるさと納税は10倍となる約4億円増を記録しました。
また、昨年の住みよい街で20位、直近の市区町村魅力度で40位、戻りたい街で4位、商業地価上昇率8位など軒並み過去最高の全国上位を記録し、就任時の「太宰府を日本を代表する都に!」との目標も概ね達成出来たと考えております。
当初不安にさいなまれたコロナ禍も、質量スピード共に確保した先進的な対策や予算、太宰府モデルと銘打ったスムーズなワクチン接種などにより、観光客激減や学校休校などの影響を最小限に抑える成果を一定得られたと自負しております。
しかし一方で、地元出身でもなく42歳の若造であった私が、副市長も教育長も旧知の職員も不在の市役所で、徒手空拳の中から未曽有の混乱からの脱却を実現するには、就任直後から日々刻々細心の注意を払い続ける必要がありました。
また、恐らく史上初となる元号の直接的ご縁を頂いた自治体となったプレッシャーは並大抵のものではなく、令和発祥の都として飛躍を遂げるために、直後の10連休はもちろん一年近く休み返上でアイデアを出し続ける必要がありました。
そして予期せず訪れたコロナ禍は令和の慶びを一瞬で吹き飛ばし、未知のウイルスに立ち向かうべく前例のない予算の組み替えや各種対策、補正予算を矢継ぎ早に打ち出すため、まさに寝食を忘れて策を練る必要に迫られました。
その集大成となるワクチン接種は戦後最大の国家プロジェクトといわれ、国県からのワクチン供給や筑紫地区5市共同での枠組みなどに縛られる一方、批判は全て市に集中するという絶対的に苦しい状況での対応に日夜追われました。
これに加え、毎年のように迫りくる豪雨災害の恐れ、構造的な財政状況の厳しさ、多岐に亘る行政ニーズの更なる高まり、渋滞問題に象徴される観光客と市民との温度差の解消など、積年の課題の解決にも24時間365日集中せねばなりません。
プライベートも全てなげうったこのような激務にこの先も耐えられるのか、そもそも私にその資格や能力があるのか、もっとふさわしい生き方があるのではないか、本気で自問自答し、周囲に相談することも一度や二度ではありませんでした。
しかし、そうした中でも絶えず激励し期待をかけて下さる市民の方々がいました。慕い、声をかけてくれる子どもたちがいました。叱り注意してくれる仲間がいました。そして、共に悩み、苦しみ、協力し、意見してくれる職員が確かにいました。
四半世紀前21歳の頃、父が落選し引退を余儀なくされたことで覚悟を決めた政治の道、18年前の本日28歳で衆院初当選し始まった政治家人生、三度落選し一度は引退を覚悟した4年前、そして負ければ最後と決め退路を断った前回市長選。
いつの時もやはり私を突き動かしたのは、世の為人の為に少しでもお役に立ちたいという思いでありました。そして、自らの能力に限りはあるけれども、求められる限りは持てる力を出し尽くして悔いのない人生を送りたいという願いであります。
そうした思い、願いと、これまでの政治家人生を見つめ直し、大切な仲間や職員、次代を担うこどもたち、前回の戦いで私を政治の世界に呼び戻して頂いた太宰府市民の皆様に思いを致す時、今しばらくお役に立たせて頂こうと決意を致しました。
もちろんコロナ禍が今なお続き、観光客の激減や経済活動の縮小、市民生活への打撃などによる影響はむしろこれから出て参ります。解決すべき従来からの課題も厳然と横たわり、今後の市政運営はさらに困難を極めると考えられます。
固より浅学非才ではありますが、世の為人の為、市の為市民の為に、求められる限りは私の持てる力を出し尽くしお役に立たせて頂く覚悟でありますので、今後とも議員各位、そして市民の皆様のご理解ご協力をよろしくお願い申し上げます。
さて、コロナ禍も、緊急事態措置解除により、少しずつ経済活動が再開してまいりました。本市でも、陽性判明者がゼロの日が続くようになり、観光客をはじめ人の流れも一定程度復活してまいりました。間もなく年末年始を迎える中、市民の皆様をはじめ、観光や参拝、帰省される方々なども安心して過ごしていただけるよう今後も最善を尽くしてまいります。
そしてワクチン接種では、スムーズな予約、移動、接種をコンセプトに「太宰府モデル」を実施し、対象世代の希望するほぼ全ての方が2回接種を終えることができ、接種会場でありました「いきいき情報センター」及び「とびうめアリーナ」は、一旦接種を終了することといたしました。これまで力を尽くしてくれた職員始め関係各位には本当に頭が下がる思いです。今後は保健センターにて接種を続けてまいります。
5月からスタートいたしましたワクチン接種により、これまで半年近くにわたり、施設利用が出来ずご迷惑をおかけしておりましたが、感染状況もかなり収まり、集団接種を一旦終了できますことに、まずは胸を撫で下ろしております。今後は3回目の接種も行うよう予定しておりますが、まずは年内2施設を皆様方にご利用いただけます。
コロナ対策を行いつつ、施政方針や太宰府市まちづくりビジョンに掲げた事業も着実に進めております。まちづくりビジョンの4つの構想に沿って振り返りますと、「底力総発揮構想」については、令和発祥の都梅プロジェクトによるうめんべいやう明太フランス、梅ジュレなどの新商品開発、サテライトオフィス開業、総務省、西鉄との人事交流、企業版ふるさと納税の開始などを行いました。
「全世代居場所と出番構想」については、学校へのデジタル教科書やドリルの導入、市内民間企業と連携したSTEAM先進教育の実施、中学校ランチサービス無料試食会の実施、就職氷河期世代の採用、中学生の子ども医療費助成の拡大、国民健康保険税の未就学児に係る均等割の減免、新たな保育施設の公募、第2つばさ学級の開設などを行いました。
「大太宰府構想」については、史跡指定100年を記念した諸行事の開催、全国史跡整備市町村協議会太宰府大会の開催、日本遺産活用に向けた県及び関係市町等との連携、文化財保存活用地域計画素案の作成、令和発祥の都PRキャラクターを活用したシティプロモーションの展開、太宰府市交通情報案内システムのライブカメラ新設などを行いました。
「持続可能な太宰府構想」については、第四次環境基本計画の策定と気候非常事態ゼロカーボンシティ宣言、ペット避難所開設など防災機能の強化、にしのまどぐちの開設、証明書のコンビニ交付開始、公共施設維持管理の手引きの作成、五条エリアのまちづくり勉強会の開始、ホームページのリニューアル、RPA実証に向けた職員説明会の開催などを行いました。
今後も、太宰府市まち・ひと・しごと創生総合戦略(太宰府市まちづくりビジョン)に掲げる4つの構想と戦略を着実に実行いたしまして、令和の都太宰府をさらに羽ばたかせるとともに、地方自治体や我が国、世界に共通する課題を先進的に解決する課題解決先進都市をめざしてまいります。引き続き議員各位のご理解ご協力をお願い申し上げます。
令和3年11月9日
太宰府市長 楠田 大蔵