○太宰府市小規模・中小企業振興条例
令和7年6月23日
条例第12号
太宰府市は、古より我が国の政治行政、外交防衛、文化交易などの要衝としてその役割を果たしてきました。変化の著しい今日においても直面する課題の解決に積極的に取り組み、「令和の都だざいふ」として飛躍を続けています。
深い歴史を持つ本市は古くからの観光に由来する商業が多く見られ、門前町をはじめとした地域経済の担い手の多くは小規模・中小企業が占めており、雇用創出や事業活動を通じたまちづくりに重要な役割を果たしています。
一方、少子高齢化や労働力人口の減少、働き方の多様化などによる人手不足に加え、急速な技術革新や経済活動のグローバル化、世界経済の変動リスクなど小規模・中小企業を取り巻く状況はむしろ年々厳しさを増しています。
このような状況の中、本市は第3期総合戦略や施政方針の歳出入一体改革、地域経済の活性化施策のなかで地場産業の育成・活性化を掲げており、地域の担い手である市内の中小企業、小規模企業者に支援を行うとうたっています。
これら方針を具現化するため、ここに小規模・中小企業振興の基本理念等を明らかにし、地域社会全体でその振興を図り、小規模・中小企業が生き生きと活動する活力ある「令和の都だざいふ」の実現に向け、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、小規模・中小企業(以下「小規模企業等」という。)が本市の経済において果たす役割の重要性に鑑み、その振興についての基本となる事項を定めることにより、地域経済の持続的な発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 小規模企業 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 中小企業 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(3) 中小企業支援団体 商工会、その他の小規模企業等に対する支援を行う団体等をいう。
(4) 観光事業振興団体 観光協会、その他の観光事業を振興し経済の発展に寄与する団体等をいう。
(5) 金融機関 銀行、信用金庫その他の金融業を行うもので、市内に本店又は支店を有するものをいう。
(6) 大企業 小規模企業・中小企業以外の事業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(7) 教育機関 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第30条に規定する教育機関などであって、市内においてこれらの事業を行うものをいう。
(8) 市民 市内に住所を有する者(以下「住民」という。)、市内にある事務所又は事業所に勤務する者、市内にある学校に在学する者、市内に不動産を所有する者又は市内で事業活動その他の活動を行う者若しくは団体(以下「事業者等」という。)をいう。
(基本理念)
第3条 小規模企業等の振興は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。
(1) 小規模企業等の創意工夫及び自主的な努力を尊重しつつ、その成長を図ること。
(2) 地域資源及び観光資源を積極的に活用して地場産業の育成を推進し、地域における経済循環の促進に努め、小規模企業等の育成を図ること。
(3) 市、小規模企業等、中小企業支援団体、観光事業振興団体、金融機関、大企業、教育機関、その他関係機関及び市民が相互に連携し、協力することにより推進されること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念に基づき、小規模企業等の振興に関する施策を総合的に推進し、実施するものとする。
2 市は、小規模企業等の振興に関する施策の策定及び実施に当たっては、小規模企業等の実態の把握に努めるとともに、関係機関との連携並びに市民の協力を得るよう努めるものとする。
3 市は、工事の発注並びに物品及び役務の調達等に当たっては、小規模企業等の受注の機会の増大に努めるものとする。
4 市は、第1項に規定する施策の実施に要する財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(小規模企業等の役割)
第5条 小規模企業等は、基本理念に基づき、経済的社会的環境の変化に対応して、自主的に経営基盤の強化並びに経営の改善及び向上に努めるものとする。
2 小規模企業等は、商工会、その他の小規模企業等に対する支援を行う中小企業支援団体への加入に努めるものとする。
3 小規模企業等は、地域における雇用の安定及び人材の育成並びに労働環境の整備に努めるものとする。
4 小規模企業等は、その事業活動を通じて、地域の活性化、防災及び災害復興に資するよう努めるものとする。
(中小企業支援団体の役割)
第6条 中小企業支援団体は、小規模企業等の経営改善及び向上を図るための取組を積極的に行うものとする。
2 中小企業支援団体は、小規模企業等の実態を把握し、自らの事業活動に反映するとともに、中小企業支援団体の会員相互の関係強化及び多様な主体との連携を促進するよう努めるものとする。
3 中小企業支援団体は、市が実施する小規模企業等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
4 中小企業支援団体は、小規模企業等の中小企業支援団体への加入促進に努めるものとする。
(観光事業振興団体の役割)
第7条 観光事業振興団体は、観光資源を活用した取組を通じ、地域経済の活性化に努めるものとする。
2 観光事業振興団体は、市の魅力を更に高め、観光消費を促進することにより、小規模企業等の振興に寄与するよう努めるものとする。
(金融機関の役割)
第8条 金融機関は、小規模企業等の円滑な資金調達等を積極的に支援し、小規模企業等の振興に寄与するよう努めるものとする。
2 金融機関は、小規模企業等の振興が地域経済の発展及び市民生活の向上に果たす役割の重要性を理解し、市と連携しつつ、市が実施する小規模企業等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 金融機関は、関係機関と連携しつつ、小規模企業等及び関係機関が実施する小規模企業等の振興に関する事業活動に協力するよう努めるものとする。
(大企業の役割)
第9条 大企業は、その事業活動を通じて、小規模企業等との連携及び経営改善等のための支援に努めるものとする。
2 大企業は、商工会、その他の小規模企業等に対する支援を行う中小企業支援団体への加入に努めるものとする。
3 大企業は、市が実施する小規模企業等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
4 大企業は、事業活動に当たり、市内において生産、製造、加工及び販売されている製品並びに提供されるサービス等を積極的に利用するよう努めるものとする。
(教育機関の役割)
第10条 教育機関は、その教育活動を通じて、地域に貢献し次世代を担う人材の育成に努めるものとする。
2 教育機関は、関係機関との連携に努めるものとする。
(市民の理解及び協力)
第11条 市民は、小規模企業等が果たす役割及び地域社会との連携の重要性を理解し、市が実施する小規模企業等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市の基本的施策)
第12条 市は、基本理念に基づき、次に掲げる小規模企業等の振興を推進する施策を実施するよう努めるものとする。
(1) 経営の安定及び継続的な発展に関する施策
(2) 新規創業の促進に関する施策
(3) 資金調達の円滑化に関する施策
(4) 災害等緊急時の事業継続及び復興に関する施策
(5) その他市長が必要と認める施策
(委任)
第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。