○太宰府市男女共同参画推進条例

平成17年12月21日

条例第46号

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的施策(第8条―第15条)

第3章 太宰府市男女共同参画推進委員の設置(第16条―第23条)

第4章 苦情及び救済の申出の処理(第24条―第32条)

第5章 雑則(第33条)

附則

日本国憲法は、すべての人は法の下に平等であって、基本的人権は何人にも保障されているものであり、男女の性の違いによって当然差別されてはならないことをうたっている。

国は、男女が性別にかかわりなく、その個性と能力を発揮できる社会の実現を目指して「男女共同参画社会基本法」を制定した。

本市は、「歴史とみどり豊かな文化のまち」を将来像に描き、その実現に向けた基本姿勢の中に、個人の尊厳と男女平等のもとで、学園都市に集う若者を含め、すべての市民の基本的人権と人間性を尊重する社会を築いていくことを示し取り組んでいる。

ここに、日本国憲法及び男女共同参画社会基本法の精神にのっとり、男女共同参画社会実現のための理念や推進すべき施策を明示し、本市で新しい文化としての男女平等社会を確立するために、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、一人ひとりの人権が尊重された男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者等の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項及び苦情等の申出の処理に関する事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 市内に居住する者、市内に通勤する者及び市内に通学する者をいう。

(4) 事業者等 市内において、営利非営利を問わず事業又は活動を行うものをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会の形成は、次の理念にのっとり推進されなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられ、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、男女間のあらゆる暴力が根絶されること、男女の身体的特徴及び性に関する個人の意思が尊重されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。

(2) 社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。

(3) 市における施策又は民間の団体における方針の立案及び決定に、男女が共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。

(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、次世代を担う子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。

(5) 国際社会の取組と密接な関係を有していることにかんがみ、国際的協調の下に行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、第3条に定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「参画施策」という。)を市の主要な施策と位置づけ、総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、参画施策を策定し、及び実施するにあたっては、国及び他の地方公共団体との連携、協力を図るとともに、市民及び事業者等との連携、協力にも努めなければならない。

3 市は、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するにあたっては、男女共同参画社会の形成に配慮しなければならない。

4 市は、男女共同参画社会の形成に関する基本理念について市民、事業者等の理解を深めるよう広報啓発活動、学習機会の充実等の適切な措置を必要に応じて講じなければならない。

5 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関して必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。

6 市は、審議会等を設置するにあたり、条例等に登用割合を規定するなど、男女が平等に市の施策や方針の決定過程に参画できる機会を確保するように努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、積極的かつ主体的に男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない。

2 市民は、市が実施する参画施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者等の責務)

第6条 事業者等は、基本理念にのっとり、事業又は活動において、積極的かつ主体的に男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない。

2 事業者等は、市が実施する参画施策に協力するよう努めなければならない。

3 事業者等は、雇用の分野において男女共同参画社会の形成の促進に関する法律等を遵守して、その雇用する男女が職業生活と家庭生活を両立して行うことのできるような職場環境等の整備に努めるとともに、育児や介護等を理由として退職した者が、再び雇用の場において、その能力をできる限り発揮できるよう努めなければならない。

4 学校を設置する事業者等は、学内において性的な言動によって相手の生活環境を害すること、又は性的な言動に対する相手の対応を理由に不利益を与える行為の防止のための環境整備に努めなければならない。

(性別による差別的取扱の禁止)

第7条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別を理由とする差別的取扱いをしてはならない。

2 何人も、配偶者等に対する暴力、性的な言動によって相手の生活環境を害し、又は性的な言動に対する相手の対応を理由に不利益を与えることその他の男女間において相手方に身体的又は精神的苦痛を与える行為を行ってはならない。

第2章 男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的施策

(基本計画)

第8条 市長は、参画施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第3項の規定に基づき、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 総合的かつ長期的に講ずべき参画施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、参画施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、基本計画を策定又は変更するに当たっては、太宰府市附属機関設置に関する条例(昭和60年条例第17号)第2条別表に規定する太宰府市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、基本計画を策定又は変更したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

(推進体制)

第9条 市は、参画施策を総合的に企画し、調整し、推進するために必要な体制の整備に努めるものとする。

(活動支援)

第10条 市は、市民や事業者等が行う活動において、男女共同参画が推進されるように情報の提供その他必要な支援を行うものとする。

(家庭生活等への支援)

第11条 市は、家庭生活における活動及び当該活動以外の活動を円滑に行うことができるように、必要な支援に努めるものとする。

(男女平等を促進する教育の推進)

第12条 市は、学校教育、社会教育等あらゆる教育の分野において、男女平等を促進する教育の推進に努めるものとする。

(調査研究)

第13条 市は、参画施策の策定及び実施に必要な事項についての調査研究を行うものとする。

(国際的協調のための措置)

第14条 市は、男女共同参画社会の形成の促進を国際的協調の下に行うための情報の交換や、男女共同参画社会の形成に関する国際的な相互協力の円滑な推進を図るために、国際的視野に立って必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(年次報告)

第15条 市長は、毎年、基本計画に基づく施策の実施状況について報告書を作成し、これを公表するものとする。

第3章 太宰府市男女共同参画推進委員の設置

(男女共同参画推進委員の設置)

第16条 市が実施する参画施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策若しくは措置についての苦情を処理し、及び性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された場合(以下「人権侵害」という。)における被害者の救済等を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき太宰府市男女共同参画推進委員(以下「推進委員」という。)を置く。

(組織)

第17条 推進委員の定数は3人以内とし、うち1人を代表推進委員とする。代表推進委員は、推進委員の互選とする。

2 推進委員は、参画施策に関し優れた識見を有し、社会的信望の厚い者のうちから、市長が委嘱する。ただし、推進委員のすべてが、男女いずれか一方の性によって占められてはならない。

(任期等)

第18条 推進委員の任期は、3年とし、再任を妨げない。ただし、任期を通算して6年を超えることはできない。

2 補欠者の任期は、前任者の残任期間とする。

3 推進委員は、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第3項第2号に規定する非常勤の特別職とする。

(責務)

第19条 推進委員は、男女共同参画社会と人権の擁護者として、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。

2 推進委員は、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。

(兼職の禁止)

第20条 推進委員は、衆議院議員若しくは参議院議員、地方公共団体の議会の議員若しくは長又は政党その他の政治団体の役員と兼ねることができない。

2 推進委員は、市と取引関係のある法人その他の団体の役員又は推進委員の公平かつ適切な職務の遂行に利害関係を有する職業と兼ねることができない。

(守秘義務)

第21条 推進委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。職を退いた後も同様とする。

(解嘱)

第22条 市長は、推進委員が心身の故障のため職務遂行に堪えないと認める場合、又は職務上の義務違反その他推進委員として著しく不適切な言動があると認める場合は、解嘱することができる。

(関係機関等との連携)

第23条 推進委員は、その職務の遂行に当たっては、市、県及び国の関係機関又は民間の関係団体と連携を図るよう努めなければならない。

第4章 苦情及び救済の申出の処理

(苦情及び救済の申出)

第24条 市民及び事業者等は、推進委員に対し、市が実施する参画施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策若しくは措置について、苦情の申出をすることができる。

2 何人も、市、市民又は事業者等から人権侵害を受けたときは、推進委員に対し、救済の申出をすることができる。

(推進委員の処理の対象としない事項)

第25条 前条に規定する苦情及び救済の申出(以下「苦情等の申出」という。)が次に掲げる事項であるときは、前条の規定にかかわらず、推進委員の処理の対象としない。

(1) 判決、裁決等により確定した事案に関する事項

(2) 裁判所において係争中の事案及び行政庁において不服申し立ての審理中の事案に関する事項

(3) 国会又は地方公共団体の議会に対し請願が行われている事項

(4) 推進委員が行った苦情等の申出の処理に関する事項

(5) 前各号に掲げるもののほか、調査することが適当でないと推進委員が認める事項

(調査)

第26条 推進委員は、苦情等の申出があったときは、必要な調査を行うものとする。この場合において必要と認めるときは、関係人から事情を聴取し、記録の提出を求め、又は実地調査を行うことができる。ただし、あらかじめ当該関係人に対し、調査を通知しなければならない。

2 市は、前項に規定する調査を拒んではならない。

3 市民及び事業者等は、第1項に規定する調査に協力するよう努めなければならない。

(却下)

第27条 推進委員は、苦情等の申出が第25条各号に規定する事項に該当し、又は申出に理由がないと認めるときは、これを却下するものとする。

2 前項の場合において、推進委員は、申出人に対し、理由を付した書面で、遅滞なくその旨を通知しなければならない。

(是正又は改善の勧告)

第28条 推進委員は、市に係る苦情の申出があった場合において、市の施策又は措置が男女共同参画の推進を阻害するものと認めるときは、市長に対し、是正又は改善の措置を講ずるよう勧告(以下「是正勧告」という。)することができる。

2 市長は、当該勧告を尊重しなければならない。

3 推進委員は、必要があると認めるときは、市長に対し、どのような措置を講じたかについての報告(以下「報告」という。)を期限を定めて求めることができる。

4 推進委員は、是正勧告及び前項に規定する報告を遅滞なく苦情の申出人に通知するとともに、必要に応じて公表することができる。ただし、公表に当たっては、プライバシー等人権に必要な配慮がなされなければならない。

5 第1項の規定による是正勧告並びに前2項に規定する報告の求め及び公表は推進委員の合議を要する。

(救済勧告)

第29条 推進委員は、市に係る救済の申出があった場合において、市が性別による差別その他の人権侵害を行ったと認めるときは、被害を受けた者に対し、必要な助言その他の支援を行い、市長に対し人権侵害を排除し、又は抑止する等救済の措置を講ずるよう勧告(以下「救済勧告」という。)をすることができる。ただし、救済勧告は、推進委員の合議を要する。

2 市長は、当該救済勧告を尊重しなければならない。

3 第1項の場合において、前条第3項及び第4項の規定を準用し、その実施にあたっては推進委員の合議を要する。

(制度改善のための意見表明)

第30条 推進委員は、市に係る苦情等の申出があった場合において、法令の定め、地方公共団体の権限の制約その他の正当な理由により、市の施策又は措置を直ちに是正し、若しくは改善することが困難であると認めるときは、制度改善のための意見を表明する(以下「意見表明」という。)ことができる。ただし、意見表明は、推進委員の合議を要する。

2 前項の場合において、第28条第4項の規定を準用する。

(市以外のものによる人権救済の申出の処理)

第31条 推進委員は、第24条第2項に規定する救済の申出(市に係るものを除く。)があり、調査の結果、必要があると認めるときは、人権侵害により被害を受けた者を救済するため必要な助言その他の支援を行うとともに、救済の申出に係る状況を是正するため、市長に報告し、市長が改善のための要請を行うよう求めることができる。

2 前項の場合において、推進委員は、救済の申出人に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。

3 推進委員は、次条第1項の要請にもかかわらず、救済の申出に係る状況が改善されていないと認めるときは、市長に対し、人権侵害に係る状況を公表するよう求めることができる。

4 第1項の規定による報告及び要請の求め並びに前項の規定による公表の求めは、推進委員の合議を要する。

(市長の要請及び公表)

第32条 市長は、前条第1項の要請を求められたときは、関係人に対し、改善のための要請を行うことができる。

2 市長は、前条第3項の規定による公表を求められたときは、人権侵害に係る状況について必要な事項を公表することができる。

3 市長は、前2項に規定する推進委員の当該求めを尊重しなければならない。

4 市長は、第2項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ当該公表に係る市民又は事業者等に意見を述べる機会を与えなければならない。

5 市長は、第1項の要請及び第2項の公表を行ったときは、推進委員に対し、遅滞なくその内容を通知しなければならない。

第5章 雑則

(委任)

第33条 この条例の施行に関し、必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成18年4月1日から施行する。

太宰府市男女共同参画推進条例

平成17年12月21日 条例第46号

(平成18年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 市長部局/第6節 企画・広報
沿革情報
平成17年12月21日 条例第46号