○太宰府市文化振興条例

平成9年9月29日

条例第16号

文化は、人々が豊かで、安らかな人間らしい生活を求めて行うあらゆる活動から生まれるものである。われわれは、この認識を基本とし、大きく変貌しつつあるまちの実態を見すえながら、市民全体の文化的生活の実現を目ざして、市民文化の振興を図り、新しい「まちづくり」に取り組もうとするものである。

文化創造の主役は市民自身であり、行政は市民の文化活動に介入することなく、広くその活動を支援し、そのための必要な条件を整備するという任務を負っている。したがって、文化振興のためには、市民と行政がそれぞれの立場と役割を自覚し、協同の作業者として行動することが最も大切な要件である。その前提に立った新しい市民文化の創造に寄与するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、文化振興に関する基本的事項を定め、これを総合的に推進することにより、もって市民が自ら取り組む新しい文化の創造に寄与することを目的とする。

(市の責務)

第2条 市は、市民の文化活動を支援すべき市の責務を認識するとともに、文化振興の基本として実施する施策を体系化し、そのために必要な財政措置を含め、その具体的実現に努めなければならない。

(市民の役割)

第3条 市民は、自分たち一人ひとりが人間としての生きがいを感じ、生活を豊かで快適なものにしていくため、自らが文化創造の主役であることを自覚し、自己の創意を生かしながら、文化活動に進んで参加することによって、地域文化の構築に貢献する役割を担うものとする。

(行政の文化化)

第4条 市は、市民文化創造の支援に際しては、市民生活の全般にわたり、行政各分野の緊密な連携をもって対応する総合行政を実現するため、行政の文化化を進めなければならない。

(人権の尊重)

第5条 市及び市民は、人権の尊重が文化の重要な柱であることを認識し、人間としての生き方に深くかかわりをもつ人権の尊重につながる文化活動の促進を図るものとする。

(地域的特性への配慮)

第6条 市及び市民は、市民文化の振興に当たって、地域の特性である歴史的環境と自然環境を護り、自然の生態系と人との共生を図りながら、その特性が日常の文化創造活動に活かされるよう配慮し、工夫するものとする。

(生涯学習との関連)

第7条 市は、文化活動と生涯学習が密接な相関関係にあることを認識し、その振興のための行政的な支援に際しては、両者が並行的に推進されるよう努めなければならない。

(国立博物館との関連)

第8条 市及び市民は、国立博物館が、市民や外来者に親しみのある博物館となるよう、その運営に積極的に協力するものとする。

2 市は、国立博物館の所在都市として、九州及びアジアにおける文明交流の接点となる役割を担うものであることを認識し、アジアを中心とする国際交流及び国内地域間交流の積極的な促進を図るものとする。

(人材の確保)

第9条 市は、文化活動を推進するうえで必要な人材を確保し、その養成に努めなければならない。

(文化活動の拠点)

第10条 市は、文化に関する広範な情報の提供と交流の促進を通して、市民文化活動の拠点として機能する文化情報提供施設を設置するとともに、既存施設の活性化を含む文化施設の整備・充実に努めるものとする。

(市総合計画との関連)

第11条 市は、総合計画の策定及び実施に当たっては、市民生活に直結する文化振興の視点を根底に置くものとする。

(文化振興審議会)

第12条 市は、文化の振興を進めるに当たり、必要に応じて太宰府市文化振興審議会の意見を徴するものとする。

(委任)

第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

太宰府市文化振興条例

平成9年9月29日 条例第16号

(平成9年9月29日施行)